━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★★★★★ 東京長高金鵄会メールマガジン2014/2 ★★★★☆
東京長高金鵄会は関東在住の長野高校出身者による交流の場です。同窓生
の交流・親睦のため定期的に講演会を企画し、メルマガを配信しています。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【1】田中信義前会長を偲ぶ 東京長高金鵄会会長 中村 健
【2】田中信義氏の早すぎる逝去 柳沢 忠(高校16回)
【3】2013年 東京長高金鵄会総会・講演会 開催報告
【4】「特別企画 日本の知的財産戦略を語る」を聞いて 山本 洋雄(高校14回)
【5】講演「政官関係と人材育成―近代から現代へ、長野から東京へ」を聞いて
小原 知子(高校45回)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【1】 田中信義前会長を偲ぶ 東京長高金鵄会 会長 中村 健
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
12月まで四年間にわたり東京長高金鵄会の会長をお務め頂いた田中信義さん
(16回)が1月23日にお亡くなりになりました。心よりお悔やみ申し上げます。
ご葬儀は同窓会関係者も参列のもとで、31日にしめやかに行われました。
田中会長は昨年正月の幹部会で、そろそろ引退を考えたいとのお話を出されまし
た。その時は皆で是非とも会を引っ張って頂きたいとお願いをしましたが、しばら
く経ってからお病気になられてしまいました。その後は治療に専念されていました
が、最後まで同窓会の運営にはお電話でご指導を頂きました。
皆さまもご存知の通り、田中会長はいつも穏やかで、優しい心で私たちを包んで
くれました。会の運営にあたっては、会員同士の交流が重要であるとのお考えから、
集まる機会をなるべく多く持ち、その道の専門家も多いので講演もいろいろな人に
お願いしようと、積極的に動かれました。
田中会長は日本の知的財産の第一人者でもあり、世界的にも著名で、大学でも教
鞭をとられるなど素晴らしい先輩でした。
12月の総会では14回生による日本の知財講演とパネルディスカッションが行われ
ました。この企画は田中会長ご自身も関わられ、ご本人にもご参加を頂く予定のも
のでした。大変盛り上がり、歴史に残ると言って良いほど素晴らしいものでした。
今となっては、この企画が田中会長への最高の供養になったのかと感じています。
享年68歳で、まだまだ長高金鵄会や知財の分野でご活躍をして頂きたかったのに
本当に残念です。
安らかにお休み下さい。
合掌
東京長高金鵄会
会長 中村 健
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【2】 田中信義氏の早すぎる逝去 柳沢 忠(高校16回)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
長野駅前のホテルでの恒例の16回生の新年会で、2013年1月1日はスタートしまし
た。田中信義氏を交えた2次会は楽しいお酒の会でした。2月半ばに東京医科歯科大
学病院に検査入院、3月に手術を受け回復、5月の講演会では群馬大学病院の中野教
授の重粒子線治療の講演を一緒にお聞きしました。この時知遇を得た教授に主治医
の承諾を得てお世話になり、10月重粒子線治療でかなり元気になっていました。
1月に群馬大学病院で再度治療を受けると聞いておりましたので、すっかり回復途
上だと思っておりました。
11月最終金曜日の恒例の東京駅近くでの忘年会、5月10月の恒例の北軽井沢でのゴ
ルフの会など、同期生として楽しく交際して頂きました。
当番年度(1991)にはまだ仕事がお忙しく、2000年頃から同期会には参加してく
れるようになりました。
前々会長の荒井寿光氏とは以前から顔見知りであったようですが、お互いに長野
高校の卒業生であることはご存じなかったようでした。会長副会長という立場にな
って意気投合した仲になったのだと思います。
常々「長野高校卒業生は多士済々で、講演会は楽しいね!」が口癖でした。
副会長が数人で幹事も集団、これで彼が病の間も会が動いていました。これには
彼は感謝していました。
どうぞ安らかにお休み下さい。
合掌
東京長高金鵄会16回生
学年幹事 柳沢 忠
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【3】 2013年 東京長高金鵄会総会・講演会 開催報告
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2013年 東京長高金鵄会総会・講演会が下記の通り行われました。
記
■講演会: 2階 桜Bの間 14:00〜16:00
【話題提供】「政官関係と人材育成―近代から現代へ、長野から東京へ」
(参考文献:清水唯一朗 著『近代日本の官僚』中公新書 2013年)
<演者> 清水 唯一朗 氏(45回生)
慶應義塾大学総合政策学部准教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員
【特別企画】日本の知的財産戦略を語る
14回生3名による基調講演及びパネル・ディスカッションです。出演者は、裁判
官歴約40年で初代知財高裁所長の篠原勝美氏、国際的に著名な東大名誉教授で東
京都市大学長の北澤宏一氏、通産省出身で初代知財戦略事務局長の荒井寿光氏の3
名。特許や著作権などの知的財産は、これからの日本の発展に重要な役割を果たし
ます。日本の第一人者が分かりやすく縦横に議論します。
<基調講演> 「初代知財高裁所長から見た知財戦略」
篠原 勝美 氏(14回生)
慶応大法科大学院客員教授、初代知的財産高等裁判所所長、
元福岡高等裁判所長官
<講 演> 「科学者から見た知財戦略」
北澤 宏一 氏(14回生)
東京都市大学学長、前科学技術振興機構理事長、東大名誉教授、
福島原発民間事故調委員長、高温超電導フィーバーの仕掛人
<パネル・ディスカッション>
モデレータ 荒井 寿光 氏(14回生)
世界平和研究所副理事長、元特許庁長官、初代内閣知財戦略事務局長
パネラー 篠原 勝美 氏 北澤 宏一 氏
■総会・懇親会:2階 桜Aの間 16:00〜18:00
参加者138人(来賓3人)
総会
1.2013年活動報告
2.2013年会計報告
3.中村 健 新会長挨拶
4.新副会長、幹事の紹介
会 費: 10,000円(含む懇親会費、事務費)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【4】「特別企画 日本の知的財産戦略を語る」を聞いて 山本 洋雄(高校14回)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今回は将に「知的財産立国の歴史を作った人々 長高卒業生が語る」であった。国
の重要戦略を立案し多くの組織を巻き込んで推進するとはこのようなことだったのか
と、志の高さとスケールの大きさに心から感動した。知的財産に関して司法と行政な
ど各組織の頂点で采配を振るった3人が、東京長高金鵄会14回生であったのだ。
初代知財戦略事務局長となった荒井寿光元特許庁長官がモデレートし、それぞれ他
者の立場も踏まえて知的財産戦略を如何に推進したか、お互いに同調・共鳴し合いな
がら強力な国家プロジェクトとなっていったかを浮かび上がらせて呉れた。
1990年代半ばに特許庁長官になって年間5百件もの被告でありながら、最高裁など
に出向いて特許訴訟の迅速化などを訴えたエピソードには、会場も沸き立った。90年
代後半になって日本経済の停滞が長期化するにおよび、経済再発展の為には知財立国
が重要と見抜き、関連法案の立案・改革を図ると同時に司法や立法、企業等を動かし
たことも浮き彫りになった。それらの動静に呼応して知財高裁が設立され、篠原勝美
初代所長が長年の知財裁判に関する諸問題を解決していったことが具体事例から窺え
た。さらに北澤宏一前科学技術振興機構理事長が、全国大学等の研究者の総元締めと
して、教員・研究者の特許に関する姿勢をがらりと変えて特許申請を一挙に拡大した
こと等が披歴された。
会場からは才口千晴元最高裁判事や弁理士等で活躍中の諸氏が、コメントや質疑応
答などで歴史の客観性を補強するなど、大変に素晴らしい演出と企画であった。しか
も本講演の直前に清水唯一朗慶応大学准教授が、国家を創った歴史に残る政官人の誕
生などを語り、いやがうえにも「知的財産で国を興した長野高校卒業生」を盛り上げ
る結果となった。
卒業生全体では各界で優れた業績を挙げられた方々が溢れるばかりと思うが、今回
のように大きな国家プロジェクトを同期生がそれぞれの組織の長として協調・推進し
た事例は珍しいのではないか。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【5】 講演「政官関係と人材育成―近代から現代へ、長野から東京へ」を聞いて
小原知子(高校45回)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
講演会 話題提供
清水 唯一朗 氏(高45回)慶應義塾大学総合政策学部准教授
「政官関係と人材育成―近代から現代へ、長野から東京へ」を聞いて
高校45回生にとって、2013年は卒業20年の節目の年。8月に長野で盛大に行われた
同窓会では、当時の先生、仲間たちとの懐かしく、刺激的なひとときを過ごしました。
今回の話題提供者は、同期の中でも、刺激的な活動を行うひとり、慶應義塾大学総
合政策学部准教授の清水唯一朗さん。中公新書から発刊され、好評を博している著書
『近代日本の官僚』の内容をベースに、東京と長野、そして人材育成という2つの視
座を重ね合わせた、30分の魅力的なプレゼンテーションを行ってくれました。
簡単な自己紹介のあと、「国家を創る、人を創る―官僚になる人材は、地方でどう
作られ、上京し、官僚になっていったのか」のお話がスタート。明治の維新官僚のほ
とんどは、比較的身分の低い地方出身者だったそうです。彼らを支えたのは、身分が
低くても(低いからこそ抵抗なく)学ぶことができた洋学と、身分に関わらず、自分
たちがどうしたら幸せになれるかを主体的に考えさせた「五箇条の御誓文」。清水さ
んの語り口から、「志を持ち、勉強すれば、自分のやりたい仕事ができる」という彼
らの高揚感が伝わってきます。
帝国大学ができると「金色夜叉」さながらの、学士官僚が誕生、活躍する時代がや
ってきます。しかし、日清日露戦争の頃には、大学の先生は学生への教育に興味がな
く、大学生も国家試験の準備に追われる姿が顕著になってきたとか。大学教育の形骸
化の問題がその頃からであったことに、改めて驚かされます。
当時は、それに対し、吉野作造などによる経験主義、活動主義による現場教育が盛
り上がりました。そして現在、インターネットの普及や大学の大衆化により、日本の
大学教育は大きな分岐点に来ていると、清水さんは言います。
例えば、講義はオンラインで配信、大学では膝と膝をつきあわしての議論を中心と
するなどの試みがスタートしています。また学生が地域と関わることで、長野では、
小布施若者会議や、信州若者1000人会議など、全国に先駆け、画期的な取り組みが色
々生まれ、成果を生みはじめているそうです。
清水さんが教鞭をとるのは、奇しくも、私が卒業し、数年前もプロジェクト等のメ
ンバーとしてお世話になっていた大学学部。当時の後輩たちからは、彼の講義やゼミ
が大人気という話も聞いています。
2014年3月からは、1年間の予定で、ハーバード大学に留学するとのこと。世界の知
性が集う場での経験をもとに、新たにどんな考察、そしてアクションを展開していっ
てくれるのか?今後の活躍がますます楽しみです。